クラウドストレージとは?初心者にもわかりやすく解説

『クラウドストレージについて理解してみよう』(最終更新:2019年10月)


パソコンやスマートフォン、タブレットなど複数の端末を使っていると、バックアップやデータのやり取りの際に困ることがあります。

iPhoneやAndroidなどのスマホデータをパソコンに移したいときや、逆にPCに入っているデータをスマートフォンやタブレット端末で使いたいことがあるのですが、こうしたときにデータをやり取りするのも面倒なわけです。

また、サークル仲間や職場の仲間、あるいは取引先相手など複数のメンバーで同じデータを共有したいときも、メールやUSBメモリなどでファイルのやり取りをするのは面倒です。特に、データのサイズが大きいものになると困ってしまいます。

もし、仲間同士でデータのやり取りが簡単に行えたら便利ですよね。また、自宅のPC内のデータ(ファイルや音楽など)を職場や学校、カフェなどインターネットに繋がる環境さえあれば、外出先からでも使えたとしたらとても便利になるはずです。

こうしたことを可能にしてくれる手段の一つに「クラウドストレージ」というものがあります。

名前は聞いたことがある方も多いと思いますが、いまいちよくわからないという方も多いかもしれません。←私

きちんと理解して正しく使うことで、仕事や私生活をより便利にすることが可能になると思います。

そこで今回は、このクラウドストレージについてまとめました。

クラウドストレージってなに?


クラウドストレージとは、インターネット回線でアクセスするデータの貸倉庫のようなものです。

以前、「スペック(性能)の見方を初心者にもわかりやすく解説」でハードディスク(HDD)について説明したことがありますが、HDDとは本棚のようなものでたくさんの情報を記憶して保存する部品であると説明しました。

お店で見るパソコンの値札には、「HDD:500GB」とか「1TB」といった表記がされていますが、これは本棚がどれくらいの大きさなのかを表しています。

容量が大きければ本棚は大きくなるので、多くの本や資料を保管することができますが、逆に容量が小さければ本棚も小さくなるので、収納できる量も少なくなってしまいます。

このように、データを収納する本棚のことを「ストレージ」と言います。別の言い方をすると「記憶装置」と言ったりもします。

パソコンやスマートフォンなどの端末には、本体そのものにストレージが組み込まれていますが、容量が足りなくなったら外付けハードディスクなどのストレージ(外部記憶装置)を使って容量を補ったりします。(外付けハードディスクとは?初心者にもわかりやすく解説

これと同じように、企業がインターネット上でストレージを貸し出しているものもあるわけです。

この場合はインターネットを経由して企業が用意した本棚へアクセスして使うので、「クラウドストレージ」とか「オンラインストレージ」と呼ばれています。

つまり、インターネット回線を使って本棚や倉庫をレンタルすると考えるとわかりやすいと思います。

この本棚にはパソコンやスマートフォン、タブレットなど複数の端末から気軽にアクセスできるので、ここにデータを保存しておけばファイルのやり取りもスムーズにできるようになります。

また、ローカルの特定フォルダと同期できるものもあります。たとえば、パソコンやスマートフォン内に「A」というフォルダがあって、その中にメモ帳を入れていたとしましょう。もしあなたが、パソコンでフォルダAのメモ帳を書き換えると、クラウドストレージとスマートフォン内にあるファイルも同時に更新されます。

つまり、ある特定のフォルダのデータを更新すれば、他のデータも全て同時に更新できるというわけです。これを「同期」と言います。クラウドストレージを使うとこうした機能も使えます。

さらに、仲間と共有したいファイルをアップしておけば、外出先からでも気軽にアクセスして使えるのも魅力です。

IDやパスワードの割り当てが可能なサービスであれば、取引先相手ともオンライン上で安全にファイルのやり取りができるので手間も時間も省けるといったメリットもあります。

この他にも、大切なデータのバックアップ先としての使い方もあるので、災害などに備えて外付けHDDなどのバックアップ先とは別に用意しておくと安心です。(パソコンデータのバックアップ方法とは?

このようにクラウドストレージはとても便利なサービスなのですが、より理解を深めるために、仕組みについてもう少し詳しく見ていきましょう。

どのようにストレージを貸し出しているの?


例を挙げて簡単にサービスの仕組みを説明します。

まず、A社がクラウドストレージサービスを行っているとしましょう。

この場合、A社はサーバとよばれる大きな本棚をいくつか用意して、その棚に仕切りを付けて複数に区分けします。

そして、この区分けされたスペースの一角をあなたに貸し出すわけです。つまり、一つの本棚を数人で共有すると考えるとわかりやすいと思います。

ちなみにこの貸し出すスペースのことを「記憶領域」と言ったりします。

本棚を共用で使うので費用も比較的安価に利用することができますし、レンタルなので必要な期間だけ借りられるなどのメリットがあるわけです。

もちろん共有すると言っても、同じ本棚を使っている他の誰かがあなたのデータを勝手に見るということはできないような仕組みになっています。

つまり、カギのついた箱に入れて本棚にしまうようなものなので、誰でも中身を見ることができるというわけではありません。

データの保存の仕方も簡単です。

あなたはExcelで作成したデータをパソコン内のHDDに保存する際、どのように保存しますか?

Excelの保存ボタンをクリックして、「名前を付けて保存」の画面でファイルの名前を記入して、「コンピュータ > Cドライブ > …」などの順に保存先を指定してからデータを保存すると思います。

クラウドストレージもこれと同じような要領で、IEやChrome、Firefoxなどのウェブブラウザを使って行います。

あるいは専用のソフトウェアを使って、ドラッグ&ドロップするだけで簡単にデータのアップロードやダウンロードをすることができます。

クラウドストレージサービスはこのような仕組みになっているのですが、いろいろな種類があるので選ぶ際には注意しなければなりません。次は、この点について見ていきましょう。

クラウドストレージにはどんなものがあるの?


一口にクラウドストレージと言っても、サービス内容は様々です。費用にしても無料で使えるものから有料のものまであります。

また、有料のものの中には、ソフトウェアやパソコンを購入したときに一緒に付いてくるものもあります。

容量についても「20GB」や「100GB」と小さなものから、「1TB」や「3TB」と大容量のものまでありますし、中には無制限で使えるものもあります。

企業によってサービス内容は大きく変わるのですが、そうなると「無料で無制限のところが良いのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

でも、安易に選んでしまうとトラブルの元にもなるので注意が必要です。

クラウドストレージを選ぶ際の注意点は?


選ぶ際には注意しなければならないのは、あなたがクラウドストレージを使う「目的」です。

思い出して欲しいのですが、クラウドストレージとはどういったサービスでしたでしょうか?

企業が用意したストレージにデータを預けるサービスでしたね。

別の言い方をすると、銀行にお金を預けるのと同じように、あなたの大切な情報を企業に預けるということを認識しなければなりません。

預ける際にはいろいろなことを考えなければなりませんが、特に注意しなければならないのは「データ消失の際の対応は十分か?」「保存するファイルの重要度は?」の2点です。

それでは、一つずつ詳しく見ていきます。

1.データ消失の際の対応は十分か?


まず、データを預けた後に起こり得るトラブルの一つに「データ消失」があります。

たとえば、無料で利用できるサーバだと、一定期間アクセスしなければデータが削除されてしまうものがあります。90日間利用しなかったり1年以上放置していたりすると、ルールに沿って削除されるわけですね。

これだと大事なファイルや思い出の詰まった写真や動画を預けるには不安が残ります。

また、障害など何らかのトラブルが原因で突然データが消失してしまう事もないとは言い切れません。

こうしたトラブルが発生した際に「データを復元してください」と頼んでも、そこまで対応してもらえないことがあります。

これは、企業側でデータのバックアップ体制(復旧体制)が充実していないことが原因であったり、利用規約で予め定められている場合があるからです。

この点においては有料・無料を問わず、こうしたリスクのあるものが多いようなので注意しなければなりません。

サービスには「個人向け」と「法人向け」の両方があるのですが、特に個人向けサービスの場合は法人向けサービスと比べるとバックアップ体制は充実していないことが多いようです。

つまり、クラウドストレージを使うのであれば多少費用はかかっても、法人プランやビジネスプランを選んだ方が安心ということが言えると思います。

2.保存するファイルの重要度は?


もう一つ注意しなければならないのが「閲覧権限」です。

特に無料サービスの中には、「閲覧制限」や「共有範囲」を細かく設定できないものもあるので、保存していたデータが気づかないうちにネット上で公開されてしまうことがあります。

見られても構わないデータであれば問題ありませんが、仕事で使うような重要なデータや個人情報が含まれているものだと細心の注意を払わなければなりません。

これらのリスクを予め想定して、どのクラウドストレージを選ぶべきかを考える必要があるわけです。


ちなみに先程「仕事で使うような重要なファイル」と書きましたが、企業によってはセキュリティなどの面も考慮して無償サービスの利用を禁止しているところもあるので、こうした利用方法は避けるべきです。

一方、個人であまり重要ではないファイルを預けるのであれば、無料ストレージも選択肢として入れておくのも良いと思います。

万が一データが流出して誰かに見られても困らない情報であるとか、何らかのトラブルで預けたデータが消えてしまっても問題ないのであれば、費用のかからない無償サービスは非常に便利だと思います。

大切なのは、「あなたがどのようなデータを何の目的で預けるのか」を考えてサービスを選ぶという点です。闇雲に選ぶと後で困ることにもなりかねないので、この辺りをしっかりと考えてから選ぶようにしましょう。

でも、一般的には「大切なデータだから保存したい」「仕事で効率化を図りたいから使いたい」といった目的でクラウドストレージの利用を考えている方が多いと思うので、ここを重視して選ぶ際のポイントについて見ていきましょう。

クラウドストレージを選ぶ際のポイントは?


主に確認すべき点は以下の5つです。

1.容量
2.費用
3.バックアップ体制の有無
4.セキュリティ機能の有無
5.法人向けサービスの有無

それでは、ひとつずつ詳しく見ていきます。

1.容量を考慮する


容量は、先程上で説明した本棚の大きさにあたります。

動画や音楽、画像などを大量に保存しないのであれば、そんなに大きなものでなくても大丈夫だと思います。

一方、大容量のデータを扱うことが多いのであれば、それに合わせて容量も考慮して選ぶ必要があります。

2.費用を考慮する


企業によって無料プランと有料プランの両方を用意しているところもあれば、セキュリティ体制やバックアップ対策などのサービスを充実させて有料プランのみを提供しているところもあります。

データの重要度に合わせて選ぶ必要がありますが、個人的には万一に備えてサービスが充実して、管理体制の整ったものを選んだ方が安心だと思います。

3.バックアップ体制の有無を確認する


あなたの大切な情報を預けるわけですから、バックアップ体制の有無を確認しておくことはとても重要です。大切なデータを保存しても、消えてしまっては意味がありません。

4.セキュリティを確認する


セキュリティで確認すべき点は、「ウイルスチェック機能」と「SSL暗号化通信」の2つです。

まず、ウイルス感染した場合に考えられる一番のリスクは「情報漏洩」です。

大切なデータが悪意を持った人の手に渡るのを防ぐためにも、ウイルス感染の危険がないのかをチェックする機能の備わったサービスを選んでおくと安心です。

また、通信データの暗号化に対応しているかも確認しておきましょう。

わかりやすく言うと、ファイルのアップロードやダウンロードの際に、他の人からデータの中身を盗み見られないようにする技術のことです。

個人情報を含むデータや、仕事で使う重要なデータの送受信を行うのであれば、暗号化に対応したところ選んでおくと安心です。

※ただし、暗号化技術の脆弱性を狙って悪用される場合もあるので、状況に応じて考慮していく必要があります。

5.法人向けサービスの有無


先程も触れましたが、仕事でクラウドストレージサービスを安心して利用するためには管理体制が整っていて、万一の際もしっかりとサポートしてくれる「法人向けのサービス」や「ビジネスプラン」などが用意されているところを選ぶのもポイントです。

ビジネスプランになると、「閲覧制限、共有の管理、ファイル復元、サポート体制」などの点でサービス内容が大きく変わってくるので、大切なデータを扱うのであればこうしたものを選ぶ方が安心だと思います。


以上、5つのポイントを押さえて選んでいくのが大切であると考えていますが、クラウドストレージはいろいろとありすぎて選ぶのも大変です。

そこで、いくつかの用途に分けて良さそうなところを絞りこんでみました。

どのクラウドストレージが良いの?


どのサービスを使えばいいのかは、用途や価値観にも左右されると思うので人それぞれだと思います。

先ほど銀行を例に挙げましたが、銀行に口座を作る際も、規模や知名度、信頼性、利用目的、利便性などを考慮して、どこを選ぶかも変わってくると思います。

クラウドストレージも同じです。預けるものが「お金」から「情報」に変わったという認識で選ぶようにしてみるといいかもしれません。

以下に一例として、GoogleとMicrosoftが提供するサービスを紹介します。個人向けとビジネス向けのサービスに分かれているので、こうした点にも注意して比較してみてください。

◆Google Drive(個人向け)
◆Microsoft OneDrive(個人向け)
◆Google Workspace(ビジネス向け)
◆One Drive for Business(ビジネス向け)

クラウドストレージのサービスを提供しているところは、この他にもたくさんあるので、先ほど説明した選ぶ際のポイントなどを考慮して選んでみるといいかもしれません。

もしクラウドストレージへ情報を預けることに不安を感じるのであれば、外付けハードディスクを使って自宅で管理する方法もあります。この方法であれば、全ての情報を手元に置いておけるので安心だと思います。詳しくは、「外付けハードディスクとは?初心者にもわかりやすく解説」を参照してください。

クラウドストレージについてはこんな感じです。今の時代はストレージもさまざまな方法が用意されているので、あなたの目的や使い方に合わせて選んでみると、より快適な環境で過ごせるようになると思います。参考にしてください。

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